この夏、開幕1000日前に開催したイベントで、公式キャラクターの愛称やオフィシャルテーマソングなどが発表された、大阪・関西万博。少しずつ情報が解禁され、2025年に向けたワクワク感も高まりつつある。T's WEBチームが前回取材を行ってから、はや3年。前回は、四方を海に囲まれたロケーションを活かしたデザインなどについて伺うことができた。今回は、150の国と25の国際機関の参加目標、企業やNGO/NPO、市民団体などによる多様な参加の枠組みなどを軸に、共に手を取ることで広がる未来社会の可能性について、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 機運醸成局地域・観光部審議役兼観光推進課長 森栄子さんに話を伺った。
万博会期前から一緒に盛り上げていくプログラムを用意。
万博会場をゲートウェイとして、各地域でのインバウンドの活性化も視野に。
「2025年の万博が1970年のそれと大きく異なるのは、みんなで未来社会を創っていこう、そのためにみんなで万博に関わっていこうという参加型であることです。我々も、多くの皆さんに関わっていただける様々なプログラムを用意しているところです」(森さん)実際、大阪・関西万博では、企業・団体・自治体・市民団体等の参加者を、共にテーマの実現を目指すパートナーと捉え、多様な参加形態を用意しているという。「パビリオンは、企業や団体の皆さんに『いのち輝く未来社会のデザイン』というテーマを、独自に解釈していただき、各々が持っている知恵やアイデア、最新技術を表現していただく場となっています。また、様々なテーマ事業に複数の企業や団体にも関わっていただくため、テーマ事業協賛という参加形態も用意しました。技術や提案を協賛いただいた皆さんで持ち寄り、パビリオンとして表現していただく計画です」では、会期前の今から私たちができることはないのだろうか。その点においては、会期前から参加できる「TEAM EXPO 2025」プログラムが用意されているという。「『TEAM EXPO 2025』プログラムは、皆さんが豊かな未来社会のために取り組んでいることを、万博を通して会期前からもっと盛り上げていきましょうというものです。そしてその先、自分たちの地域や社会を良いものとする想いをどんどん重ねることで、皆さんにその創り手になっていただこうという意味も込められています。自分たちの地域や社会をより良いものにするために活動している皆さんが互いに結びつくことで、また新しいものを生み出す事例が出てくることにも期待しています。例えばすでに、自ら応援ソングをつくって、それを世界に発信するという活動をされている高校生などもいらっしゃいます。こうした活動がまた新たな出会いの場をつくり、さらに多くの方々へと輪を広げていく──そんな繋がりも生まれてくるでしょう」さらに会期中は会場の中と外、つまり各地域との結びつきによって日本全体で万博を盛り上げる計画もあるという。「会期中、約2820万人の来場を見込んでおり、そのうち諸外国からのインバウンドは約350万人を見込んでいます。そういった方々を、万博会場をゲートウェイとして、さらに各地域まで足を伸ばしていただくことも視野に入れています。特に外国の方に向けて各地域で『いのち輝く未来社会』を実践していただき、2025年以降も何度も来日していただけるようなきっかけづくりができることを期待しています」
最先端技術の実証や実装によって、高まる近未来への期待。
未来を担う子どもたちが、積極的に関わっていける万博を。
公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会
機運醸成局地域・観光部審議役兼観光推進課長
森栄子さん
会期中は、企業や団体が持つ先端技術やシステムを用いて、6つのテーマに沿って様々な実証や実装を行う「未来社会ショーケース事業」も計画されている。6つのテーマとは、スマートモビリティ万博、デジタル万博、バーチャル万博、アート万博、グリーン万博、フューチャーライフ万博を指す。「例えば、『スマートモビリティ万博』なら、空飛ぶクルマの実験場として、空港と会場をつなぐ試みなどが検討されています。『デジタル万博』では、来場者エージェントを設け、言語も属性も異なる一人ひとりに適した誘導ルートを提供する計画などがあります。『バーチャル万博』では、他では体験できないようなXR技術の提供などを検討しています。『アート万博』では、ウォータープラザにおける水上ショーなど万博を彩る催事を検討中です。『グリーン万博』では、カーボンニュートラル、ゴミゼロ、食品廃棄ゼロなどの実践の場となるような計画があり、『フューチャーライフ万博』では、フューチャーライフパークというエリアを拠点として、未来の住宅や環境、交通、文化、ヘルスケア、食など、様々な体験をしていただこうと考えています。これらテーマごとの事例は、ほんの一例に過ぎません」と語る森さん。このほかにも「TEAM EXPO 2025」プログラムなど、会期前から多様な個人やグループが参加できる取り組みもある。「未来を担う子どもたちにも、見学するだけの万博ではなく、ぜひどんどん関わっていただく万博にしていきたいですね。万博やSDGsについて学び、万博のテーマ実現のアイデアを考えてもらう教育プログラムなども全国の小・中学校を対象に実施しています。自分たちが関わった万博なのだと胸を張っていただき、ご家庭や学校でさらなる学びのきっかけとなると嬉しいです。そのためにも、お子さん達にはぜひ修学旅行や校外学習などで来場していただきたいと思っています」
EXPOまであと1000日をきりました
2022年7月18日、大阪・関西万博開幕1000日前イベントが、東京・大阪で開催されました。
大阪・関西万博開催まで1000日前となる2022年7月18日、開幕1000日前イベント「1000 Days to Go!」を東京(東京スカイツリータウン®)と大阪(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)で同時開催。ライブ配信もされた東京でのイベントでは、公式キャラクターがお披露目され、愛称が「ミャクミャク(MYAKU-MYAKU)」に決定したことを発表。東京スカイツリー®が万博カラーによる特別仕様でライティングされた。大阪では、オフィシャルテーマソングとして、コブクロさんによる書き下ろしの新曲『この地球(ほし)の続きを』が初披露された。
大阪・関西万博のイメージカラーに見立てたライティングの東京スカイツリー®(写真左)。岸田文雄総理も出席し、「成功に向け、政府一丸で準備を進めたい。一層の協力を」と関係者や国民に呼びかけた(写真中上)。公式キャラクターの愛称が、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の十倉会長、経済産業省の細田副大臣、岸田総理より発表された(写真右上、中下)。
会場となる大阪では街中でEXPOの機運が高まりつつあります
万博会場となるお膝元の大阪は、各地で大阪・関西万博が告知され、市民の積極的な参加を促すとともに、機運の醸成が図られている。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会によれば、万博開催に向けた機運醸成や地域の魅力に触れる機会を創出するため、今後も万博に関連する自治体や地域のイベント開催を促進するようなスキームを検討中だという。大阪ミナミにある宗右衛門町通りのぼり旗(写真左上)と戎橋の万博2025開催オブジェ(写真右下)。JRなんば駅では、デジタルサイネージ(写真左下)。大阪市役所にはホールに幕やカウントダウンボード(写真中央上、右上、中央下)が設置されていた。※2022年8月4日撮影
海と空を感じられる会場
大阪・関西万博の会場は、四方を海に囲まれたロケーションを活かし、世界とつながる「海」と「空」が印象強く感じられるデザインとします。円環状の主動線を設け、主動線につながるように離散的にパビリオンや広場を配置することで、誘致の時からの「非中心・離散」の理念を踏襲しつつ「つながり」を重ね合わせた「多様でありながら、ひとつ」を象徴する会場を創出します。
世界中の「いのち輝く未来」が集う万博
大阪・関西万博では、150の国と25の国際機関をはじめ、企業やNGO/NPO、市民団体等が、世界中から「いのち輝く未来社会」への取り組みを持ち寄り、SDGsの達成とその先の未来を描き出します。そのための具体的な取り組みとして、各界のトップランナー8人が自ら創り上げるテーマ事業や、会期前から会期後までを見据えた共創の取り組みである「TEAM EXPO 2025」プログラムなどを行います(「TEAM EXPO 2025」は多様な人たちがチームを組み、多彩な活動で大阪・関西万博とその先の未来に挑む、みんながつくる参加型プログラム)。
各界のトップランナー8人が自ら創り上げるテーマ事業
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の中核事業である、
テーマ事業「いのちの輝きプロジェクト」の基本計画を発表しました。
「いのちの輝きプロジェクト」は、展示パビリオン「シグネチャーパビリオン」、イベント「シグネチャーイベント」をリアル会場、バーチャル会場で展開いたします。各界で活躍する8人のプロデューサーが主導し、「いのちの輝きプロジェクト」から得られる体験は、人びとにいのちを考えるきっかけを与え、創造的な行動を促すものと考えます。
他者のため、地球のために、一人ひとりが少しの努力をすることをはじめることを促します。その重なり合い、響きあいが、人を笑顔にし、ともに「いのち輝く未来社会をデザインすること」につながっていくものと考えます。
テーマ事業プロデューサー
宮田 裕章 みやた ひろあき
慶応義塾大学教授
担当テーマ
「いのちを響き合わせる」
石黒 浩 いしぐろ ひろし
大阪大学教授、ATR石黒浩特別研究所客員所長
担当テーマ
「いのちを拡げる」
中島 さち子 なかじま さちこ
音楽家、数学研究者、STEAM教育家
担当テーマ
「いのちを高める」
©蜷川 実花
落合 陽一 おちあい よういち
メディアアーティスト
担当テーマ
「いのちを磨く」
福岡 伸一 ふくおか しんいち
生物学者、青山学院大学教授
担当テーマ
「いのちを知る」
河森 正治 かわもり しょうじ
アニメーション監督、メカニックデザイナー
担当テーマ
「いのちを育む」
小山 薫堂 こやま くんどう
放送作家、京都芸術大学副学長
担当テーマ
「いのちをつむぐ」
©LESLIE KEE
河瀨 直美 かわせ なおみ
映画作家
担当テーマ
「いのちを守る」
未来の技術と社会システムが見える万博
大阪・関西万博のコンセプトである「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」に基づき、カーボンニュートラル、デジタル技術、次世代モビリティなど、最先端の技術や社会システムを会場や運営、展示等に活用する未来社会ショーケース事業を行います。さらに、ARやVRなどの先端技術を活用して、会場を訪れることのできない人でも会場外から大阪・関西万博を体験することのできるバーチャル万博を実施します。
本格的なエンターテインメントを楽しめる万博
ウォータープラザの水上ショーや会場内の施設や通路を用いたプロジェクションマッピング、イベント広場や催事場など大小様々なステージで行う音楽や芸能などの催事、伝統芸能やポップカルチャーなどの展示体験催事、全国各地の祭りやパレードなど、にぎわいと感動にあふれた本格的なエンターテインメントが楽しめる万博を創出します。
快適、安全安心、持続可能性に取り組む万博
過剰な混雑が生じないよう、電子チケットを活用した、入場事前予約制度やパビリオン予約制度等の導入を検討するなど、平準化に積極的に取り組み、快適な万博体験の実現を目指します。さらに、感染症対策や防災対策、サイバーセキュリティ対策による安全安心の実現、サステナブルやインクルーシブなど持続可能性に配慮した運営などに取り組みます。
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