商品企画や、SNSでの話題作りまで、
その発想で活躍する「企画デザイン2時」さんを取材させていただきました!!
『私たちは、時計の2時の方角「ななめ上」の発想で
モノづくりを行う企画デザイン会社です。
様々な企業からの依頼を受け、ユニークな商品アイデアやデザインを提供しています。
ほかにも、突然思いついたおかしなアイデアをSNS上に投稿し、バズったり、すべったりしています。
日常の箸休めとして、楽しんでいただけたらうれしいです。』
というゆるーい社訓と共に、様々なジャンルで面白い企画を生み出している「2時」さんに、
発想・企画・発信について、考え方を学ばさせていただきたいと思います。
判決を取ってくる犬用おもちゃ「勝訴マスコット」
うれしそうに判決を取ってきてくれる、犬用のおもちゃを作りました。 土曜日にふと思いつき、Twitterに手作りサンプルを投稿したところ、 想像以上の大反響となりました!のちにバンダイにて発売。 届いた商品を使う犬の画像がたくさんSNS上にアップされ、 犬好きな我々としても大満足な商品になりました。
Q 会社を立ち上げたきっかけ
私たちは元々、神戸にある株式会社フェリシモに務めていました。その時から、企画を中心にSNSで話題になるような、ユーモアのある事を考えていました。プランナーとして7年ほどバディを組んでいたのですが、二人でオン・オフを含めて一緒にいる時間が長くなり、「今後、どうなっていくんだろうね。」とキャリアの話になったとき、どうしても会社の中でキャリアアップをしていく想像がつきませんでした。どちらかというと、“自分たちの力を試してみたい” “もっと冒険がしてみたい” という気持ちがあったので、自然と二人で会社をやってみようとなりました。もし失敗しても「アルバイトしたらいっか、ダメな状況になる訳じゃないしね!」と二人とも能天気な性格だったこともあり、前向きでした。
自分の中にあるものの組み合わせでしか、アイデアは出てこないので、
インプットを沢山することは大事だと思います。
Q アイデアはいつ出てくるのか
自分の中にあるものの組み合わせでしか、アイデアは出てこないので、インプットを沢山することは大事だと思います。好き嫌い関係なくインプットしているという前提で、私の場合は、仕事中も出てくるんですが、たくさん寝た土曜日や、ベットの上でだらだらしてリラックスしている時にパッと思いつく事が結構多いですね。8時間以上寝ることが大事です。やっぱりいっぱい寝ないと、頭がクリアにならない気がします。それを言い訳にいっぱい寝ちゃうんですけどね。(笑)あとは、思いついたネタをよくスマホにメモしているんですが、それが商品にならなくても、「これが面白かった」と自分の琴線に触れたことをメモするようにしています。(楢崎さん)
二人で道を歩いている時でも、面白い看板を見つけたりと、世の中の面白いものを見つけることを自然にやっています。雑貨屋さんに行くと、「これどうやって作ってるんだろうね?」と作り手の目線で見たり、タグを見なくてもメーカーさんが分かったりするくらい観察してしまいます。(田中さん)
想像を膨らませながら日々インプットをしている。それがアイデアの種になっているのですね!
機能的には意味がないけれど、楽しいこと面白いことには価値がある。そんな感覚が広まっていったらいいなと思います。
アイデアの力って無限大で、皆さんの日常の箸休めになれたらいいよね。という気持ちでいます。
代表・プランナー
楢﨑 友里 ならざき ゆり
Q 原動力はなんですか?
考えることが好きで、ずっと日常的に空想しています。小さい頃からそうでした。でも、思いついた事が頭にある状態が気持ち悪く、思いついたイメージを実現したい!という気持ちもあり、そういう特性が上手く仕事に結びついたなと思います。(楢崎さん)
Q バディ歴の長いお二人だからこそ出てくるアイデアの個性があると思うのですが、振り返るといかがですか?
まさにそうですね。アイデアが出たら、まずはお互いに「どう思う?」と聞いて、お互いの反応を見て、相手もいいねっとなったら面白くなる。どちらかが出したアイデアをキャッチボールして膨らませて、相手のリアクションを見ながら、修正したりやめたりしていますね。徐々に肉付けしていって、1番いいものを作る。という事が結構多いです。
Q 「かたちにするということ」をどのように捉えていますか?
空想は好きですが、ありえないものを考えても仕方がないので、ちゃんと実現できるラインや、売れる値段にできるか、生産条件に合うような形状にできるかと考えていくと、さらに削ぎ落とされていくので、ふわっと考えたものを着地させるというところがプランナーとしての仕事の肝でもあります。また、『物を作っているのではなく、お客様の時を作っている』という理念を、前職のフェリシモで学び、大切にしていました。なので、これだったらお子さんと遊べる時間が増えるかもしれない。家族の時間が楽しくなるかもしれない。という「かもしれない時間」を想像してものづくりすることを今も大切にしています。「勝訴マスコット」も、「うちのワンちゃんは上手く持ってきてくれるかな?」「横向きに持ってきても笑っちゃうだろうな」という想像の瞬間を思い描いてかたちになりました。
お客様の手元に届いてやっと完成ですね。SNSでお客様が私たちの商品を海外旅行に連れて行ったり、大事にしてくださっている投稿を見ると感動します。
Q 企画の時に意識していることをお聞かせください
共感ができるものを、見た目が新しいものや新規性のあるものと組み合わせることが成功のポイントでもあります。大喜利のように考えることで、意外な組み合わせが斬新になります。例えば、「金属でできた固めプリン」では、金属で面白いものを考えようとした時に、遠いものをまず考えました。すると、「柔らかい」になり、プリンを想像しました。一度遠く離れたところから結びつけてみると、企画がジャンプアップできるような気がします。
Q 最近のマイブームは?
最近はパン作りにハマっています。鬼のように焼いて食べています。(笑) オーブンだけに飽き足らず発酵機も買ってしまい、独立してからこの3年どっぷりとハマっています。(楢崎さん) 私は、最近ラーメン激戦区に引っ越したんです。なのでラーメンを結構食べ歩いています。全くクリエイティブな趣味じゃないんですよね(笑)(田中さん)
Q 今後の目標をお聞かせください
機能的には意味がないけれど、楽しいこと面白いことには価値がある。そんな感覚が広まっていったらいいなと思います。(楢崎さん)
大きな目標や野望はないんですが、アイデアの力って無限大で、広告を打たなくても0円でSNSで拡散されて、たくさんの人に笑ってもらえる。皆さんの日常の箸休めになれたらいいよね。という気持ちでいます。(田中さん)
人を幸せにするために面白い商品を作っているというと、おそらく嘘になってしまいます。私たちは、自分たちが面白いと思ったことを楽しんで作っていて、それが結果的に色んな人が笑ってくれたら、そんな幸せなことはないです。(楢崎さん)
田中 桃子 たなか ももこ
「勝訴マスコット」
1番SNSで話題になったものは犬用の「勝訴マスコット」というおもちゃです。投げると嬉しそうに「勝訴」を掲げてワンちゃんが持ってくるというおもちゃです。裏は「無罪」になっています。(笑)
嬉しいことだけにしようと思って不当判決は無しにしました。こちらはSNSで29万いいねくらいいったアイデアで、まさに土曜日のベッドの上で思いつきました。このイメージが浮かんだら、すぐに百均に行ってタオル生地を買い、アイロンプリントして手作りしました。そして、知り合いの飼い犬のポンタ君に遊んでもらい、撮影しました。文化祭のような手作り感があるのですが、それから話題になり、バンダイさんで商品化して頂きました。
「ハムスターモナカ」
京都の老舗和菓子屋・青木光悦堂さんと一緒に開発したものです。せっかく京都で事務所を構えたのだから、京都のお土産になるようなものを作ってみたいと独立当初から考えていました。八つ橋や抹茶などとは違った可愛い系のお土産は珍しいのではないかと思い、こちらから売り込みをして企画させて頂きました。青木光悦堂さんも乗り気でやってくださって、とても有り難かったです。現在、京都駅でも販売させて頂いております。こちらは1から3Dプリンターを学び、試行錯誤して可愛く立体的なフォルムに仕上げました。初めての3Dプリンター作業でしたが、YouTubeを見ながら手探りで作ったこだわりの商品です。カプセルトイも発売中です。
「はいどーも!ポーチ」
こちらは、吉本さんとコラボさせて頂いた「はいどーも!ポーチ」です。ファスナーを開閉すると芸人さんが「はいどーも!」とマイクの前に登場する商品です。ポーチのファスナーは、チェーンのようになっていると思うんですが、ここが引き手ではなく、自立していたらどうなるんだろう。と思って「はいどーも!ポーチ」をイメージしました。
「ミニラーメンレンゲ」
ラーメンを食べるときに、猫舌の方や女性の方など、レンゲに小さいラーメンを作って食べる方が結構いらっしゃるんですが、その行為を面白く出来ないかと思い、レンゲ部分をラーメンの鉢にしてみました。たくさんの方が共感してくださって、SNSで話題になりました。
「金属でできた固めプリン」
こちらは、ある日私たちの元に山形県の金属加工の町工場の方から連絡がきて、「うちの技術で何かバズるものを考えて欲しい」と依頼されて一緒に作ったものです。金属を回転させながらカットするという技術をお持ちで、ヒアリングさせて頂きながら、おそらく世界一固いプリンを作りました。 私たちは言うはやすしですが、実際に作ってくださったのが、面白く職人さんたちの本気度を感じました。
「カロリーピック」
現実から目を背けず、しっかりと「カロリーを摂っている」ことを自覚させてくれるピックです。
SNSに寄せられた「0カロリーバージョンも欲しい!」とのお声を受けて、罪悪感なく食が進む0カロリーピックも作りました。
お二人のお話をお伺いしていると、想像すると同時に、すぐに作ってみる!という行動がとってもパワフルだと思いました。
ふんわりしているイメージを実際にかたちにすることは、とても大変な事です。1から3DプリンターをYouTubeを見ながら勉強したり、自転車を走らせて百均に行って手作りしてみたり。
できることから作ってみるという精神は、実はとても知力とエネルギーが必要だと思います。
二人で居るということも素敵なことで、コンビの仲で想像を広げて一番いいものにする。地域の人や職人さん達とも関わりながら作っていく事が、人の共感を作り、ユーモアや笑顔をつくるんだなと感じました。
これからの活躍に目が離せません!!